2006 桜花心療クリニック TEL 099−213−1020

診 療 内 容
5 睡眠障害
 成人の睡眠は身体の休息となるレム睡眠と、脳の休息となるノンレム睡眠が、約90分周期で交代で出現します。ノンレム睡眠はその深さから4つの段階に分けられます。段階3、段階4は深い睡眠にあたりますが、正常な睡眠においても総睡眠時間の3分の1以下しかありません。従って意外と睡眠中浅い眠りが多いということです。さらに年齢を重ねていくにつれて深い睡眠は短くなります。

 睡眠障害は主に 不眠症過眠症概日リズム睡眠障害 の3つに分けられます。
不眠症については、外来受診される方で一番多くみられるのが神経症性不眠です。これは睡眠の質事態に大きな問題は無いのですが、不眠に意識が集中し眠ろうと過度に努力するため、緊張がさらに高まリ睡眠が妨げられる状態です。他には身体疾患(喘息、疼痛、皮膚炎等)に伴う不眠や、薬剤性不眠、うつ病や統合失調症等の精神疾患に伴う不眠があります。特殊なものとして、寝入りばなやそれより前に下肢に不快な感覚が起こり、じっとしていられなくなるといったムズムズ足症候群周期性四肢運動障害睡眠時無呼吸症候群レム睡眠行動障害に伴う不眠といったものがあります。

 「不眠症」に対しては薬物療法が主体となっています。最近開発された睡眠薬は安全性が高められ、きちんと使用すれば問題はないと思います。しかしながら高齢者においては、眠気や転倒といった問題があり慎重に投与すべきです。非薬物療法としては日光や入浴を生かす方法、森田療法などの心理療法、自立訓練法や筋弛緩法、アロマセラピー、音楽等を用いたリラクゼーション法があります。

 「過眠症」については、代表的なものにナルコレプシーがあります。これは日中に耐え難い眠気と居眠りが繰り返し生じるとともに、情動脱力発作といって笑ったり驚いたりした時に、全身あるいはからだの一部の力が抜けるといった症状がみられます。睡眠中に金縛りや生々しい幻覚を体験する事もあります。ほかに突発性過眠症、反復性過眠症があります。過眠症の治療として、ナルコレプシーは薬物の使用により、一定の効果は期待できますが、他の疾患においては治療に苦慮する事があります。

 「概日リズム睡眠障害」に関しては、時差症候群、交代勤務性睡眠障害、睡眠相後退(前進)症候群、非24時間睡眠覚醒障害などがあります。このなかで睡眠相後退症候群というのは、睡眠が慢性的に遅れた時間帯に固定しているため、入眠が夜中の2〜3時以降となり、朝起きることが出来ず不登校や頻回の欠勤となり、社会的にも問題となることがあります。これら概日リズム睡眠障害の治療においては、睡眠薬による改善は難しく、高照度光療法や時間療法などをおこないます。欧米では松果体ホルモンであるメラトニンを使用した治療も行われています。

 「睡眠障害」においては短期間で改善するものもあれば、改善に時間のかかるものもあります。
長期になるものは睡眠日誌をつけ、それをもとに治療計画をたて、生活環境から見直していく必要があります。眠れないからといって睡眠薬に頻りすぎるのは、依存や耐性といった問題が生じてきます。

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